お知らせ

朝日講座は2020年度をもって終了いたしました。

ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

 


UTokyo OCWで2011~2020年度の講義を視聴できます。


朝日講座「知の冒険」「知の調和」とは

 

 東京大学・朝日講座「知の冒険――もっともっと考えたい、世界は謎に満ちている」は、朝日新聞社の寄附により2011~2015年度にわたり開講されてきた、東京大学全学部の3・4年生および大学院生を対象とする学部横断型の講座です。

 

 毎年、様々な分野から一流の講師陣にご登壇いただき、学生と一緒に議論を深めてゆく形で、一つのテーマにアプローチしています。 東京大学大学総合教育研究センター運営、東京大学文学部開講のもと、専門課程における「全学部共通授業科目」の先駆けとしての役割を果たしてまいりました。そして2015年夏、同社による寄附継続が決定し、本講座はさらに2016年~2020年度にわたって開講される運びとなりました。

 

 第Ⅱ期・朝日講座のタイトルは「知の調和――世界をみつめる 未来を創る」。ひきつづき、学問と学問、学問と社会との接合を可能にする「俯瞰知」を涵養する機会を、東京大学後期課程・大学院の学生に提供していくとともに、東京大学の知をよりひろく社会へ発信していく「窓」として機能してまいります。

   


2020年度テーマは「不安の時代」

 20世紀後半と比べて現代の日本では、将来の就職、結婚、 老後がどうなるかが不透明になっており、自分の将来像を描きにくくなっている。国家が経済的、政治的に衰退に向かっているという予測を耳にする機会も増え、社会や国家の将来に対する不安もかつてないほど高まっている。一方、グローバル化と社会の複雑化に伴い、国外の様々な集団はもちろんのこと、同じ社会や共同体に属している他の人々の考え方や行動の意味も把握しにくくなっている。そのためか、特定の集団を、自分たちを脅かす悪しき「他者」と見なすことで、本来は複雑であるはずの不安の背景や原因を単純化し、恐怖や敵意といった感情を煽ることで、自分たちの集団を結束させようとする現象もしばしば見受けられる。このような現象は日本に限った話ではなく、欧米においても外国人や異教徒を排斥しようとする動きや右傾化が起きている。

 このような趨勢が明るい未来につながるとは考えにくい。そこで本講座においては、宗教学、歴史学、社会学といった様々な切り口から、個人や社会に不安が生じる背景やメカニズム、不安と「他者」の関わりなどについて考察する。不安に対峙するのにまず必要なことは、安易でシンプルな解決法に飛びつくことではなく、困難で複雑な状況への理解を深めることだからである。不安からの脱却は理解の延長上にある。一連の講義を通じて履修者には、情動に流されることなく現実を見据える視座を育み、不安の時代を生き抜くためのヒントを手に入れてもらいたい。

 

日時 2020年10月7日~12月23日 水曜5限(午後4時50分~6時35分)

(※初回として予定していた9月30日の講義は休講となりました)

 

場所 Zoomによるオンライン講義

 

コーディネーター 

 菊地 達也(人文社会系研究科 イスラム学)

 勝田 俊輔(人文社会系研究科 西洋史学) 

 

科目番号 04207001

 

■各回の詳細はこちらをご覧ください。


■履修情報はUTASのシラバス、または授業カタログをご覧ください。 

 

■ご注意いただきたいこと

・初めの回(10月7日)にガイダンスを行いますので履修希望者は必ず出席してください。

・第12回は午後4時50分-8時10分の拡大版とし、講師お二人をお迎えします。

・本講座は、後日映像として配信(UTokyo OCW)される部分を含みます。肖像権につきあらかじめご了承ください。 

 


ご参考:第Ⅰ期・朝日講座「知の冒険」のあらまし

 

 震災からの再生を見つめた2011年、幸福を学問知から問い直した2012年に続いて、2013年にはあらゆる事象に存在する様々な境界線のあり方について考え、2014年にはそのような境界線で隔てられた人やモノ、異なった文化や価値観の共生の可能性について考えてきました。区切りの2015年は、そうした境界線が作り出される際にも、そこでの共生がはかられる際にも、隠れた主役として機能している存在としての「媒介」あるいは「メディア」に焦点を合わせ、これらがつくる世界をみつめました。