学生へのメッセージ
突然襲ってくる災難は多くの命を奪ってしまうだけではなく、生き残った者ばかりか、直接被害を受けていない者にまで大きな精神的打撃を与える。こういう時、詩人はどういう創作態度をとるのか、また詩がどのような力を発揮することができるのか。四川大地震と東日本大地震をめぐる詩作品と映像などを通して紹介・解読する。
参考文献
田原 著/『石の記憶』(思潮社2009年)
田原 著/『谷川俊太郎論』(岩波書店2010年)
田原 編/『谷川俊太郎詩選集1~3巻』(集英社文庫2005年)
●履修者のレスポンス抜粋
◇法学部・第2類 4年
『言葉の重みはどこからくるのか』といったことについて深く考えさせられました。…『詩』というジャンルに触れる機会が少なかった自分にとって文学部の凄みを感じた講義でした
◇経済学部・経営 3年
田原先生は、良い詩は、分かると分からないの間にある「なぞ」加えて「新しさ」が必要だとおっしゃっていました。しかしながら、『良い詩』は何十年にもわたって残り読まれます。その時に『新しさ』は失われるのでは?それでも良い詩であり続けるのはなぜか?という疑問を抱きました。
◇文学部・社会学 3年
大災害と詩という問題は、非常に複雑なものであると感じた。大災害を前にして言葉は何ができるのかという問題は大災害が起きるたびに繰り返されるものであるのではないだろうか。
◇文学部・社会学 3年
詩は世間全体を共感させるメディアとしては向かないのではないか?
◇文学部・日本史 3年
これまでの授業で聞いてきた様なはっきりとした主張とは根本的に異なる『言葉』であり、不思議な感覚になりましたが、私たちが震災を考える、伝える上で、別次元で必要な手段なのであろうと思いました。
◇法学部・第2類 4年
今回の震災関連の文章には『偽物の悲しみが多い』や『津波』の一節の『生き残った饒舌者静かにしてくれ』というところから、田原さんの他者の悲しみに対して距離感を持つ作法を学びました。
◇文学部・言語学 4年
印象的だったのが、詩人である田原さんがある程度の言葉の持つ限界や無力といったものを強く認識し、その上で創作活動をなされているということでした。