第15回 佐伯一麦 (作家、三島由紀夫賞、野間文芸賞受賞)

「震災と言葉」

 

 

学生へのメッセージ

仙台で震災に遭い、その経験を通して考えたことを、言葉についてを中心に語りたいと思います。

 

 

参考文献

「川筋物語」(朝日文庫、2005)

「石の肺 ――僕のアスベスト履歴書」(新潮文庫、2009)

「芥川賞を取らなかった名作たち」(朝日新書、2009)

 

 

阿部公彦先生による『ノルゲ』(講談社、2007)書評はこちら

【紀伊國屋書店書評空間 Kinokuniya Booklog】

http://booklog.kinokuniya.co.jp/abe/archives/2007/11/post_12.html

 

 


講義後情報コーナー

◇法学部・第2類4年

震災の経験を語ることができないのが自然な姿だとおっしゃっていたが、私は、どこまで行っても部外者だからどう何を言っても安っぽい言葉になるだけだと逃げてきた人間なので、佐伯さんの話を聞いて少し後ろめたさを感じました。

◇文学部・行動文化学4年

災害を書くのに時が経っていない、いま子どもの人が大人になるくらいにならないと言葉にできない。そういったことを文学は取り上げるのだというのは非常に印象的でした。そして文学が持つ悠久の時間というものを感じました。



◇工学部・システム創成学科3年

実際に東北地方の方で、震災にあった方からお話を伺ったのは初めてだったので、話を聞きながら少しドキドキするのを感じた。被災された体験を、どうお話されるのか、聞くのが少し怖いような、でも聞いてみたい、そんな気持ちを感じた。

  

◇文学部・国文学3年

悲惨な体験を文学にするということ、それが決してたやすいことではないのはわかっていたが、今回の震災を通してより、その難しさを感じた。自分の身をもっての災害の記憶はその人から離れるものではない。それにも関わらず文字におこすことの難しさを考えると、やはり時間が必要なのだと思う。

 

◇文学部・行動文化学3年

ことばにできない状態というのがことばをめぐる問題のなかで非常に重要なものであると感じた。ことばを生み出すには日常を取り戻し時間の継続性がある程度確保されていることが必要であるように思われた。



◇経済学部・経済学3年

これまでの一連の講義では、情報の出し方、伝え方といった発信者と伝達者に焦点を当てていたように思う(報道や地震学者、政府顧問等々)。今回も作家の講義と言うことで、同じような話を予期していたのだが、思わぬことに……“身体的感受能力”のお話や……ことばを受け止める態度といった話など……情報(ことば)の受け手、その態度や感じ方に興味深い話が多かった。

 

 

●先生からのコメント

慣れぬ講義で、いつもとは勝手が違って戸惑った学生もおられたかもしれませんが、被災地のそばに住む、いち物書きとしての、情報・知識とは異なる真情のようなものが少しでも伝わったなら嬉しく思います。

 

 

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