第6回 目黒公郎

(東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター・センター長)

「東日本大震災を踏まえた首都圏の地震防災対策のあり方」

 

 

学生へのメッセージ

現在わが国は、巨大地震が頻発する時期を迎えています。東日本大震災の教訓を踏まえて、地震大国の巨大地震頻発期に生きる学生の皆さんと、首都圏がとるべき地震防災対策について考えてみたいと思います。

 

 

参考文献
目黒公郎「間違いだらけの地震対策」(旬報社、2007)
目黒公郎・村尾修「都市と防災」(放送大学教育振興会、2008)
平田直,佐竹健治,目黒公郎,畑村洋太郎「巨大地震・巨大津波 ─東日本大震災の検証─」(朝倉出版、2011.11出版予定)

 


講義後情報コーナー

●履修者のレスポンス抜粋

 

◇工学系研究科・建築学M2

震災に関するあらゆる事柄に関してムービーやグラフ、具体的な事例等を用いて、包括的に『震災』を解説していただけたのは今日の講義が初めてだった。……一部分だけに分けて情報を吸収していては分からなかった事としては、震災は本当に多くの事柄が作用し合って発生するものであり、包括的に原因を特定し、対策を練る事は、予算的にも時間的にも、マンパワーの側面でも、とても困難であると知れたのが大きかったと思う。

 

◇法学・第2類4年

たいへん刺激的な話だった。……『努力した人だけに共助と公助を考える』という論理を見せつけられて考え方が変わった。

 

◇文学部・社会学4年

行政、政治家が誤った議論が行われている背景には、通常時において地震対策が人々の意識に上がっておらず、それが行政を後押しせず、政治家が学ばず動かない(=票にならない)ということの原因であるように思われます。

 

◇経済学部・経済 3年

一般人が『正しい対策』をとるというのは限界がある。是非とも目黒先生には高度なマニュアルの作成を実現してほしい

 

◇文学部・日本史 3年

努力した人(耐震補強をした人)に対して補償を与えるという制度が良いと言われますが、リフォームなどができない人はどうなるのでしょうか。すなわち、お金がないうちでも、安いアパートで賃貸借契約をするしかない人など、耐震補強の機会が与えられている人と与えられていない人の区別が必要なのではないでしょうか。

 

◇文学部・日本史3年

実際の被災者を目の前にした(ローカルの)対策を、オールジャパンという視点に当てはめて適・不適を考えるということは、非常に大切だと思いますが、こうした『情』に対する『理』を当の被災者に理解してもらうためにはどのようなことが必要・有効となるのでしょうか。

 

◇法・政治学科3年

今回の地震後、被災地のボランティアに行って感じた事ですが、自助・共助・公助のおこりを再生させる仕組みが上手く回っていない地域が多いように思います。ボランティアの派遣にかかるお金で現地の方を雇って…の方が現地の方のためになるとは思うのですが…。