物理学と天文学は、我々が存在する『世界』の境界を探りあてようとする飽くなき営みだと言える。今回は、138億光年先の宇宙の果てを探る事でわかってきたこの世界の主成分と、太陽系外惑星系の発見によって現実味を帯びて来たもうひとつの地球の検出可能性について紹介したい。
・須藤靖 『ものの大きさ――自然の階層・宇宙の階層』 東京大学出版会、2006年。
・須藤靖 『主役はダーク――宇宙の究極の謎に迫る』 毎日新聞社、2013年。
・須藤靖「注文の多い雑文その二十二: 0×無限大≠0」東京大学出版会『UP』 485、2013年3月号、29-36頁。
・須藤靖「講演録(2013年)」『須藤靖のホームページ』
・須藤靖「注文の多い雑文その二十二: 0×無限大≠0」東京大学出版会『UP』 485、2013年3月号、29-36頁。
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◇法学部公法コース 学部3年
宇宙の境界はなく、知らない宇宙が広がっているかもしれないというのは、学校の知識を頭から信じている自分のような人間には発想できなかったので、大変興味深かったです。また、ビッグバンと点のお話は、実際そのように知識が広がっており勘違いしている人が多いように感じます。難解な理論が絡んでいるこそだと思いますが、スケールが大きく夢のあるわくわくする話ですから、先生のように、もう少し正確に魅力的に語る本や講演が増えると理想的だと思いました。
◇新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 修士2年
「宇宙の境界」を考えるとまず頭に浮かぶのは、人間が住む地球と宇宙との境界である。単純に考えると大気圏の内外で地球と宇宙を区別できるが、実際の空間は連続しており、明確な境界がある訳ではない。また、この考え方は無意識のうちに自分が住む地球を中心に考えている。地球から離れて「宇宙の境界」を捉え直すと、そもそも「宇宙とは何か」を問い直すことに繋がり、一段と複雑になると感じた。その観点から、今回の講義で紹介のあったアイザック・アシモフの“Nightfall”は、とても示唆に富んだ内容だと思った。
◇文学部行動文化学科社会心理学専修 学部3年
宇宙に境界はない、という資料の最後の言葉が残った。宇宙のことはわからないことだらけ、と専門家ですら言っており、私のような素人からしたらあるのかないのかもわからないような世界である。普段この地球上で暮らしていても、日々の自分の生活に追われて、地球という場所にいることすら意識したことはほとんどない。境界を引くということはある意味、それとそれの違いが分かっていて両者を区別する自信があるからこそできるのかもしれない。わからないことは区別できないから。
◇文学部言語文化学科フランス語フランス文学専修 学部4年
境界線という言葉すらあやふやになるほどスケールの大きい「宇宙」についての講義だった。宇宙が無限大でマルチバースな現実だとすれば、私は興味よりも恐怖をも感じてしまう。グループワークの課題などそのいい例で、地球外生命体と交信したときに質問したいことや教えたいことなんて、正直無い。ただ端的にそんな存在には会いたくない。宇宙人とは究極の他者でありそもそも対話が成立するかどうかも不明だし、先生もおっしゃられていたが、交信を成功させている以上、地球人よりも文明・知能が高いと予想される。境界線を切り口に、様々な他者について考察した本講座だったが、最後の最後でどうにも是認し難い他者が現れてしまった。
◇法学部公法コース 学部4年
自分が相対化されるとき、初めて自分の立ち位置がわかるということは、西洋近代思想、文明に初めて触れた日本人が経験したことでもあります。いつになるかわかりませんが、人間以外の知的生命体と実際にコンタクトが出来たら、自らの理解に大きく役立つでしょう。「宇宙を知ることが自らを知ることにつながる」のです。