多様な主体や多世代が協働・共生できるコミュニティやまちは、現代日本において、なぜ必要とされているのでしょうか?またどのようにしたら、そうしたコミュニティやまちをデザインし、マネジメントすることができるのでしょうか?
この講義では、コミュニティやまちの再生に関わる社会的背景について理解を深めながら、問題解決の具体的な実践事例について紹介し、皆さんで、これからの日本のコミュニティのあり方、そのつくり方、について議論を深めます。
① 『東日本大震災復興まちづくりの最前線』 大西 隆・城所哲夫・瀬田史彦 編著 小泉秀樹他著 学芸出版社 東大まちづくり大学院シリーズ 2013(分担 10章 創造的・立体的復興にむけてー仮設まちづくりを通じた担い手ベースの復興の試みー)
② 人口減少時代の都市計画 : まちづくりの制度と戦略』 大西 隆 編著 大西 隆 小泉秀樹他 著 学芸出版社 東大まちづくり大学院シリーズ 2011 (分担 6章 まちづくりと市民参加)
③ 『都市計画の理論』 高見沢 実 編著 小泉 秀樹 (他)著 学芸出版社 2006(分担 1章2節都市計画理論の歴史的展開と都市計画の公共性、3章第4節 コラボラティブ・プランニング)
④ 『日本の都市法 II 諸相と動態』 原田純孝編 小泉秀樹(他)著 東京大学出版会 2001年(分担 8章 コミュニティ・デザインとまちづくりNPO)
参考文献①
◇私たちは普段からコミュニティの構成員メンバーの一員にも関わらず、その当事者意識を持つことは少ない。コミュニティとは本来構成員の為にあるものにもかかわらず、その当事者が置き去りにされるという問題が起きている。その問題を根本的に解決するには、やはり先生がおっしゃっていた通り、住民の意識改革が肝になるだろう。高齢化が進みコミュニティに依存する人口が増えている現状では、コミュニティ形成とどう向き合うかというのは全ての人が真剣に取り組まなくてはならない課題である。
◇今回の内容を見ると手法はだいぶ研究され確立されているように見受けられるが、それらが生かされている場面にはあまり出会っていないように思う。成功を阻む要因としては、前例にこだわる行政や、無関心・もしくは関心が強すぎて他の人の参加を妨げてしまう住民、相対的に魅力の乏しい土地、…等があるように思う。地方の消滅・都市への集中が予測されているが、多様性がなくなってしまうことを考えると、なんとかして食い止めたいという思いにかられる。ひとりひとりが興味を持ち、積極的に話し合いに関わり、建設的な意見を出し合うのが普通となるような環境を整えていくことが一つの解法なのではないかと考えている。
◇市民と行政、民間事業者の三者を巻き込んだまちづくりというのは、少子高齢化社会の中、ますます疲弊し、縮小していくであろうコミュニティの再興に役立つ者として、社会的に意義があるものだと考えました。また、今回の講義ではあまり触れられませんでしたが、私は、コミュニティと職場(仕事先)は密接な関係にあるので、まちづくりは働き方をも含めて考えなければならないと思いましたー都心で仕事をし、郊外に帰るという生活からの転換をどう図っていくか、など。こう考えて行くと、まちづくりは人のすべてに関わる、あるいはその根幹となる重要なものだと感じました。
◇若者が引っ越しをするのは、就学・就業・結婚など様々なライフイベントというやむを得ない理由によるものであり、若者はどうしても高齢者と比較して地域に根付きにくい属性である。とすると、「いかに定住してもらえるか」という観点ではなく、若者のモビリティが高いことを所与の前提と置いたうえで、少し角度を変えて「いかにまちの流動性を高めるか」、という方向から検討するのが現実的なアプローチになるのではないかと考えた。